お金によって私たちの社会がどのように支配されているかを紹介します。
もちろん、お金による支配は武力とウソによって大きく支えられていますが、武力とウソが無くなったとしても機能するお金の根本的な仕組みを説明します。ここを理解することが、お金による支配を打ち破る第一歩になるでしょう。
そもそも、お金は、
人間たちが持ち物を交換し合い、
より楽に生きていくために発明されました。
お金には、価値を交換、貯蔵、計測する機能が求められ、
石、貝殻、木、穀物、塩、金属など、様々なものがお金として使われてきました。
現在では、
①貨幣(コイン)
②紙幣(お札)
③電子通貨(銀行通帳上の数字など)
が主に使われています。
その理由として、
(1)移動しやすいこと
(2)保存しやすいこと
(3)価値を数字で詳細に表せること
(4)許可された人間のみが生産できること
(5)大量生産が可能なこと
が挙げられます。
中でも、③電子通貨(通帳上のお金など)は最もよく使われており、
通貨全体の9割以上を占めると言われています。
これは、お金を使う人間としても非常に便利なもので、
何かを売り買いするときに、物質的なお金を移動する必要はなく、
コンピューター上の数値をいじるだけでいいのです。
このように驚くほど便利な世の中で私たちは生きています。
「こんな便利なお金があるのだから、さぞかし生きやすい世界なのだろう」
と古代人なら思うでしょう。
しかし、実際は、このお金をめぐって数えきれない悲劇が起きています。
世の中のあらゆるものがお金に換算される社会では、
人の価値や自然環境までもが数字で計られ、比較されます。
お金で大半のものを買うことができる社会は確かに便利ですが、
お金を持つ者と持たざる者の間に大きな力の差を生んでしまいます。
「お金を支配する者は世界を支配する」と言っても過言ではありません。
努力した人や才能がある人が正当に評価され、お金持ちになるのであれば、
誰も文句はいわないでしょう。
しかし、詐欺、強盗、殺人、環境破壊など非道な行為によって、
お金を手に入れるヒトデナシも確実に存在します。
そして、暴力とウソを使いこなすヒトデナシほど、
より多くのお金を手にすることができるのです。
そして、お金ですべてが計られる世界の最大の問題は、
「お金を創ることができる者が世界を支配できる」ということです。
お金は人が発明した道具ですから、必ずお金を創る人間がいるのです。
それは、決して貨幣や紙幣を作る工場の人という意味ではなくて、
あの金属や紙や数字をお金に変え、それを創る権力をもっている人間という意味です。
一体、誰がどうやってお金を創るのでしょうか?
これは非常に重要なことのはずなのに、
本当の仕組みを知っている人はそれほど多くありません。
私は、それが知りたくて経済学部に入りましたが、
お金の本質を教えてくれる授業はありませんでした。
(寸止めの貨幣論とかはありましたが…)
大学の経済学というのは、お金がどう作用するかが中心的に議論され、
お金がどこから来るのかという最重要事項をあえて避けているのです。
ところが、幸運なことに、インターネットの発達した現代においては、
お金が創られる仕組みを分かりやすく説明している動画を共有することができます。
たとえば次の動画です。
ただし、この動画には
正しい情報と間違った情報の両方が含まれているので、
注意が必要です。
(正)
①ほとんどのお金が、銀行によって創られた通帳上のものである。
②信用創造で創られたお金は、負債に基づいている。
③その負債を税金で返済している状況は、銀行と政府による詐欺である。
④この詐欺を通じて、銀行の所有者は労せずして莫大な利益を得ている。
これらについては、「民間銀行が行っている詐欺」と「中央銀行の役割」の項で詳しく解説します。
(誤)
①ほとんどのお金は負債に基づいて創られているから、
資産より負債が常に多くなってしまい、絶対に返済できないため、
この金融制度自体がいつかは崩壊する。
↓↓↓↓
負債を返済しても、
お金の持ち主が変わるだけで、
決してお金が消滅するわけではありません。
つまり、お金は、創られたときに発生した負債を消滅させた後に、
銀行の所有者のものになります。
彼らがそのお金で何かを購入すれば、
お金は再び循環し、別の負債を消滅されるのに使われます。
したがって、この金融制度は、
銀行の所有者がお金を使い続ければ崩壊しません。
しかし、逆に言えば、
銀行の所有者が意図的にお金を使わなければ、
市場のお金が不足し、
簡単に金融恐慌を引き起こすことができるというわけです。
②金と銀こそが本当に価値のあるお金だ。
↓↓↓↓
価値の貯蓄、交換、尺度の機能を果たせるものであれば、お金になりうるのです。
実際、石、貝殻、木、米、塩、金属、そして紙や通帳の数字でさえ
お金として機能してきました。
決して金や銀だけが本当に価値のあるお金ではありません。
何かがお金になるのに必要なのは、
それがお金として機能するという信用です。
そのためには、それをより多くの人々が欲しいと思う必要があります。
米や塩といった生活に欠かせないものがお金として機能するのは
分かりやすい例です。
では、なぜ紙や通帳の数字がお金として機能するのでしょうか?
その答えは「税金」にあります。
私たちの社会は、
国が税金として徴収するものを用意できなければ
罰が下される仕組みになっています。
また、税金は生活の多くの場面で発生するように設計されています。
つまり、私たちは税金として指定されたお金を
必ず求めるように仕向けられているのです。
権力者は、税金という制度を通じて、
何であってもお金に指定することができるのです。
そして、紙や通帳上の数字は、金や銀よりも利便性が高いため、
税金の支払い以外の用途にも好んで利用されるというわけです。
③金貨と銀貨をお金として使おう。
↓↓↓↓
今の金融制度の問題は、
ほとんどのお金が負債に基づいて創られ、
それらのお金が税金を通じて銀行の所有者のもとへ集まることです。
銀行の所有者は労せずして莫大なお金を手に入れ、
それをどう使うかで世界を思い通りに動かすことができます。
つまり、これは銀行の所有者が誰になるのかの問題であって、
何をお金として使うかではありません。
理想を言えば、
人類と他の生き物との可能な限りの共存を追求する聡明な人々が国を運営し、
全銀行を国有化すればいいのです。
そうすれば、かつての銀行の所有者が不当な利益を得ることもないし、
お金も国の良い事業に使われながら市場に流入して、
物価を安定させながら負債を返済することができます。
一方、紙と通帳上の数字は、利便性の点でお金として最適であり、
金貨や銀貨に変える必要はありません。
むしろ、金貨や銀貨をお金として利用することには問題があります。
それは、産出量に限界のある希少な金や銀では、
必要なときに必要な量のお金を供給できないという問題です。
たとえば、経済規模が急速に拡大しているときや、
戦争や災害で受けた被害を回復しようとするときなどに、
決まったお金の量しかなければ対応に困るわけです。
金や銀の「希少性」こそが、
かつて主流だった金本位制や銀本位制が成り立たなくなった根本的な原因です。
現在の権力者が操るお金の仕組みを打破しようという気持ちは分かりますが、
金や銀では利便性と希少性の問題から、
現在の通貨にとって代わることは難しいでしょう。
では、現在のお金の仕組みを打破する方法はないのでしょうか?
このことについては、
の項で論じたいと思います。