まえがき

第二次世界大戦敗戦後の荒廃から目覚ましい復興を遂げ、高度経済成長の絶頂期には“Japan as Number One”とさえ言われた日本であったが、1991年のバブル崩壊以降は長い低成長期から抜け出せないでいる。いわゆる「失われた20年」だ。そんな中で政府の財政危機が叫ばれ、その解決のために税収を上げる方法が検討されてきた。さらに、20089月のリーマンショックを期に世界的な不況となっただけでなく、2011311日の東北大震災により、日本の実態経済はさらなる悪化を見せている。GDPとして表される数字よりも、多くの命が奪われ、国土が破壊されたことが無念でならない。この場を借りて被災者の方々の一刻も早い回復と、犠牲者の方々の安らかな眠りを祈りたい。この緊急事態に対して何らかの対策を早急に打たなくてはいけないことは誰の目にも明らかだ。

 

この状況下で2012810日、消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」関連法が民主・自民・公明3党などの賛成多数で成立した。社会保障費を消費税増税による税収増で賄い、安定した社会保障を実現することで、経済成長の好循環が生まれ、デフレから脱却するのが狙いだという。

 

しかし、このような政策が日本の抱える経済問題を解決するのに本当に適しているのだろうか。問題を解決するには、まず、それがどのようなものかを分析する必要がある。日本は本当に長い低成長期から抜け出せずに財政危機に陥っているのか。そうであるなら、どのような解決策が必要とされているのか。これらを十分に分析してからを対策を実行しなくては、かえって事態を悪化させるだろう。

 

 本論文がほん少しでも日本経済に良い影響を与えられることを願っている。



一章:日本は財政危機か?